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河裾 厚男; 前川 雅樹; 吉川 正人; 一宮 彪彦
Applied Surface Science, 244(1-4), p.149 - 152, 2005/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Chemistry, Physical)RHEPD全反射強度解析法を用いて、熱処理により形成される6H SiC(0001)表面の超構造を研究した。その結果、高温水素エッチングにより平坦化処理した6H SiC(0001)表面には、酸素吸着が存在することがわかった。これは900-1000Cの熱処理により脱離させることができ、それに伴い、RHEPDロッキング曲線の全反射領域に特徴的な吸収ピークが発現することが見いだされた。この熱処理では表面にSiアドアトムに付随する超構造が形成されることが報告されており、実際上の吸収ピークがこのモデルで説明できることが明らかになった。アドアトムと第一層の結合距離は約1.8であり、LEEDによる結果とほぼ一致している。また、1000C以上の長時間熱処理により、表面炭化が進行し、これに伴い陽電子回折ロッキング曲線も劇的に変化することが明らかになった。得られたロッキング曲線は、表面にグラファイト単層が存在するとしてよく再現できること、及びグラファイト単層とSiC第一層の結合距離が約3.3となり、グラファイト単層がファンデルワールス力により結合していることがわかった。従来この表面の構造としては、グラファイト層モデルとアドアトムによる再構成モデルが提案されていたが、RHEPDの結果は前者が有力であることを示している。
深谷 有喜; 河裾 厚男; 林 和彦; 一宮 彪彦
Applied Surface Science, 244(1-4), p.166 - 169, 2005/05
被引用回数:5 パーセンタイル:26.1(Chemistry, Physical)Si(111)--Ag表面は、最表面の銀原子が三角形に配置したhoneycomb chained triangle(HCT)構造が提案されていたが、最近、理論計算と低温STM観察により、銀の三角形が非対称なinequivalent triangle (IET)構造が基底構造であることがわかった。そのため、室温における表面構造が現在新たな議論の的になっている。この表面の構造決定においては、最表面に位置する銀原子の配置を正確に決定することが重要である。そこで、本研究では最表面構造に非常に敏感な反射高速陽電子回折(RHEPD)を用いて、表面構造解析を行った。実験は、相転移温度150K前後の140Kと室温で、Si(111)--Ag表面からのRHEPD強度の視射角依存性(ロッキング曲線)の測定を行った。特徴として、室温に上昇すると、全反射領域に見られるピークの位置が、高角側にシフトすることがわかった。第一原理計算によって決定されているHCT構造とIET構造の原子配置を用いて、動力学的回折理論に基づく強度計算を行ったところ、HCT構造からの全反射領域のピークは、IET構造に比べて高角側に位置することがわかった。以上の結果から、現在、Si(111)--Ag表面は、150K付近で秩序・無秩序相転移を起こすのではなく、構造変化を伴う秩序・秩序相転移を起こすと考えている。
深谷 有喜; 河裾 厚男; 林 和彦; 一宮 彪彦
Physical Review B, 70(24), p.245422_1 - 245422_5, 2004/12
被引用回数:34 パーセンタイル:78.49(Materials Science, Multidisciplinary)反射高速陽電子回折(RHEPD)は、結晶内部のバルク原子からの振動状態に邪魔されることなく、最表面原子の原子位置と振動状態を決定できるため、最表面の構造・物性研究において非常に有用である。本研究では、RHEPDを用いて、Si(111)-(77)表面の最表面原子であるアドアトムの熱振動と原子位置の変化を調べた。実験は、273Kから873Kまでの温度範囲において、全反射したRHEPDスポット強度の温度依存性を詳細に測定した。温度散漫散乱による非弾性散乱過程を考慮に入れた動力学的回折理論に基づいてRHEPD強度の温度依存性を解析した結果、アドアトムの熱振動振幅が、以前の研究報告に比べ非常に増大していることが初めて見いだせた。またRHEPDロッキング曲線の温度依存性を測定し、同様な解析を行った結果、873Kまでの温度範囲で、アドアトムの垂直位置に顕著なシフトは見られなかった。これらの結果から、Si(111)-(77)表面のアドアトムの結合状態は、77構造から11構造に相転移する1103Kよりも低い温度で、すでにソフト化していることが導き出せた。
河裾 厚男; 石本 貴幸*; 前川 雅樹; 深谷 有喜; 林 和彦; 一宮 彪彦
Review of Scientific Instruments, 75(11), p.4585 - 4588, 2004/11
被引用回数:33 パーセンタイル:80.23(Instruments & Instrumentation)陽電子回折実験のための10keV陽電子ビームを同軸対称な電磁石を用いて開発した。ビーム輝度は、10 e/sec/cm/rad/Vとなり、陽電子再放出に基づく輝度増強技術で得られるものに匹敵する性能である。ビーム進行方向と垂直方向の可干渉距離は、それぞれ100と40であった。これらは、大きな単位胞を持つ表面超構造の観察にも十分な値である。実際、Si(111)-77表面からの超構造反射を従来よりも鮮明に観察できることが確認された。
深谷 有喜; 河裾 厚男; 林 和彦; 一宮 彪彦
Applied Surface Science, 237(1-4), p.29 - 33, 2004/10
陽電子に対する結晶中の屈折率が1以下であるため、陽電子ビームは、臨界角以下の表面すれすれの角度で入射させると全反射を起こす。全反射領域における回折波は、結晶内部にほとんど進入することができないため、最表面の原子位置・熱振動の情報のみを反映していると考えられる。したがって、全反射領域における陽電子回折強度を解析することにより、最表面の構造・物性に関する情報を選択的に得ることができる。本講演では、シリコン(Si)の(111)の最表面原子の熱振動の振る舞いに注目し、反射高速陽電子回折(RHEPD)強度の測定及び強度解析を行った。初めに動力学的回折理論に基づくRHEPD強度計算を行った。結晶表面のデバイ温度を一定として、バルクのデバイ温度を変化させてRHEPD強度の温度依存性を計算したところ、全反射領域における回折強度は、バルクの熱振動には全く影響されないことが確かめられた。以上のことにより、全反射領域におけるRHEPD強度が真の表面デバイ温度を決定するうえで非常に有効であることがわかった。講演では、全反射領域におけるRHEPD強度の実測値と計算値との比較から、Si(111)表面の最表面原子の熱振動の振る舞いについて報告する。
河裾 厚男; 深谷 有喜; 林 和彦; 前川 雅樹; 石本 貴幸*; 岡田 漱平; 一宮 彪彦*
Materials Science Forum, 445-446, p.385 - 389, 2004/02
これまで、われわれは反射高速陽電子回折における全反射と一次ブラッグピークの存在を実証した。しかしながら、最構成表面に付随する分数次回折点の観測には至っていなかった。そこで、Si(111)77を用いて陽電子回折実験を行った。その結果、陽電子回折図形における1/7から3/7の分数次ラウエ帯の存在を発見した。さらに、鏡面反射点の入射視射角依存性(ロッキング曲線)を決定し、アドアトムによる陽電子の非弾性散乱に起因する構造を見いだした。従来の電子回折実験で決められている原子配置と吸収ポテンシャルを使用すると、実験結果が再現されないことから、これらのパラメータを変更する必要があることが判明した。
石本 貴幸*; 河裾 厚男; 伊藤 久義; 岡田 漱平
JAERI-Tech 2003-091, 32 Pages, 2003/12
反射高速陽電子回折(RHEPD)の表面研究のために装置開発を行い、1998年には、世界で初めてとなる明瞭な陽電子回折図形の観測に至った。初期に開発された装置は、三段のアインツェルレンズとコリメータによって平行陽電子ビームを得る仕組みになっていた。しかしこの装置では、ビームエネルギー分散と線によるバックグラウンドが鮮明な回折図形観察の妨げとなることがわかってきた。すなわちより精度の高い実験を行うためには、ビームエネルギー分散と線のバックグラウンドを低減し、かつ観測システムのダイナミックレンジを高める必要がある。そこで、初期の装置に対して同心円球状の静電偏向器と二段のアインツェルレンズを新たに加える改造を施した。その結果、線が起源のノイズを大幅に低減することができ、ビーム径1mm,エネルギー分散0.1%以下、及び角度分散0.1%以下の高品質陽電子ビームを得ることができた。また新たに画像観測システムを構築した。その本装置を用いて、従来の研究では観測不可能であったSi(111) 表面に付随する微弱な一次ラウエ帯の観測に成功した。
河裾 厚男; 深谷 有喜; 林 和彦; 前川 雅樹; 岡田 漱平; 一宮 彪彦
Physical Review B, 68(24), p.241313_1 - 241313_4, 2003/12
被引用回数:25 パーセンタイル:72.76(Materials Science, Multidisciplinary)本論文では、よく収束された20keVの陽電子ビームを用いたSi(111)-77再構成表面からの初めての陽電子回折の結果について報告する。1/7次から3/7次の陽電子回折パターンが明瞭に観測された。全反射ロッキング曲線を動力学回折理論によって解析したところ、表面付着原子(アドアトム)が積層欠陥層から約1.52の位置にあることが明らかになった。これは、従来の理論値よりも大きな値であり、アドアトムが真空側に大きく変位していることを示している。
河裾 厚男; 一宮 彪彦*
表面科学, 24(3), p.174 - 180, 2003/03
これまで原研において、世界で初めて開発した反射高速陽電子回折法の原理からそれを用いたSiC表面構造研究まで、最新のトピックスを含めて解説する。反射高速陽電子回折では、電子の場合には、決して起こらない表面全反射現象が出現する。これは、一宮によって運動学的考察と動力学回折理論の両面から与えられた理論的予測であった。一方、われわれのグループでは、この予測を実証すべく装置開発を推進し、一次ラウエ斑点を含むほぼ完全な回折パターンの観測に至った。その後、S(111)表面の構造解析を行い、赤外吸収や原子間力顕微鏡では、見つけることが難しかった表面ラフネスの検出に成功した。最近では、高温水素処理したSiC表面,犠牲酸化したSiC表面を評価し、Si-Oが表面に付着しており、全反射回折強度のオフブラッグ反射を誘発することが判明した。Si-O結合長距離を決定し、従来の値との比較を進めている。
石本 貴幸*; 河裾 厚男; 伊藤 久義
Applied Surface Science, 194(1-4), p.43 - 46, 2002/06
被引用回数:9 パーセンタイル:45.19(Chemistry, Physical)表面分析技術として極めて有用な反射高速陽電子回折(RHEPD)の検出感度とS/N比向上を目指し、本システムの改造を行なった。陽電子ビームの品質向上のため、既存のビームラインに45°静電偏向器を取り付け、2段のアインツェルレンズでビームを輸送後、コリメータでビーム中心軸成分を切り出した。この結果、陽電子ビームのエネルギー分散0.1keV以下,角度分散0.1°以下,ビーム径1mmを達成した。また、陽電子検出器に入射する線量も減少し、ノイズ低減につながった。回折スポット検出のダイナミックレンジ広幅化のために検出系に画像キャプチャボードを取りつけ、積算画像を32bitで保存できるデータ処理プログラムを作成した。本改造により水素終端処理シリコン(111)基板を試料として、これまで観測されたゼロ次ラウエパターンに加え、微弱な一次ラウエパターンの実測に初めて成功した。
河裾 厚男
Isotope News, (575), p.2 - 4, 2002/03
世界に先駆けて原研が開発した反射高速陽電子回折技術の概要と応用例についてわかり易く解説する。電子の反物質である陽電子を用いる陽電子回折技術によって、状来の電子回折では難しいとされていた表面第一層の構造解析が可能になり、超薄膜や表面触媒材料開発への応用が期待されている。一宮によれば陽電子は物質から反発力を受けるため、ある特定の入射角のときに表面において全反射される。原研では、静電的な手法で形成した陽電子ビームをコリメートすることで小径・高平行ビームを形成し、世界初となる陽電子回折図形の観測に成功するとともに、全反射効果を確認した。また、これまで原子尺度で平坦であると考えられていた水素終端Si表面の全反射強度測定を行ったところ、原子平坦表面に対して期待されない挙動が現れることを見い出した。動力学計算に基づく解析により、この結果が、トリハイドライド付着構造であることが明らかになった。
河裾 厚男; 児島 一聡; 吉川 正人; 伊藤 久義; 岡田 漱平; 一宮 彪彦*
Materials Science Forum, 363-365, p.445 - 447, 2001/05
われわれは、反射高速陽電子回折(RHEPD)に最適な陽電子ビームを開発することで、RHEPD回折図形とロッキング曲線の取得に初めて成功し、RHEPD特有の一次ブラッグ反射と全反射の効果を見いだすことができた。また、本手法を水素終端Si表面やSiC表面に適用することで、表面に残留する原子尺度の欠陥の存在を明示した。これより、高速陽電子の表面回折現象を実験的に証明するとともに、全反射領域におけるロッキング曲線が表面状態に非常に敏感であることを明確にできた。しかし、RHEPDの最も重要な応用である吸着構造の決定や表面デバイス温度の測定には至っていない。また、金属表面の陽電子反射率についても、数種の金属に対するデータは取得できたが、理論値との十分な比較を行えるほどには蓄積されていない。本講演では、さらに進んだ研究には何が必要か、高速陽電子と表面との相互作用では何が未解決であるかについて論述する。
河裾 厚男; 岡田 漱平; 一宮 彪彦*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 171(1-2), p.219 - 230, 2000/08
被引用回数:12 パーセンタイル:62.12(Instruments & Instrumentation)表面物性の評価手法として期待されている反射高速陽電子回折(以下、RHEPD)の開発とシリコン表面構造解析及び金属表面ポテンシャルの測定に関する結果を紹介する。また、RHEPDの理論的側面についても述べる。1998年に原研高崎研において、初めて明瞭な回折図形が観測された。その後、水素終端したシリコン(111)表面の構造解析がなされている。ロッキング曲線(陽電子反射強度-入射視射角依存性)より、RHEPDに特有の全反射現象と1次ブラッグピークが認められた。動力学計算との比較から、STMや赤外吸収測定では、観測が難しいとされるSiH相の存在が示唆された。また、Au,Ni,Ir表面による反射陽電子の強度測定から、理論値と比較可能なレベルで表面ダイポール障壁が実測できた。講演では、上述の成果とともに現状の問題点と今後の展開についてもふれる。
河裾 厚男; 児島 一聡; 吉川 正人; 伊藤 久義; 鳴海 一雅
Applied Physics Letters, 76(9), p.1119 - 1121, 2000/02
被引用回数:21 パーセンタイル:65.08(Physics, Applied)近年SiC表面が水素アニールにより改質されることが見いだされた。そこで、反射高速陽電子回折及び原子間力顕微鏡により水素アニールを施したSiC表面の状態を研究した。比較のため、単にHF処理した試料、水蒸気酸化を行った後HF処理した試料、及び、水素アニール後に酸化し、HF処理した試料についても、同様の研究を行った。単にHF処理した試料の表面は、研磨の影響で非常に荒れていることが見いだされ、水蒸気酸化により、表面荒さが低減できることがわかった。しかし、表面の平坦度は十分に上がらず、多くのラフネスが残留していた。ところが、水素アニールにより表面ラフネスが著しく低減され、原子的に平坦(ラフネス1Å)な表面が得られることが見いだされた。陽電子反射パターンは上記の変化を反映しており、水素アニールにより非常に鮮明な反射パターンが得られた。一方、水素アニール後の酸化により表面ラフネスは激増しないことが見いだされたが、反射高速陽電子回折のロッキング曲線には、異常なディップ構造が出現することがわかった。これは原子間力顕微鏡では見いだされなかった酸素吸着か、マイクロラフネスの効果と考えられる。
河裾 厚男; 吉川 正人; 児島 一聡; 岡田 漱平; 一宮 彪彦*
Physical Review B, 61(3), p.2102 - 2106, 2000/01
被引用回数:13 パーセンタイル:57.65(Materials Science, Multidisciplinary)ウェット法にて作製した水素終端Si(111)表面について、高角度分解能でロッキング曲線を求めたところ、平坦な表面に対しては予想されない、特異なディップ曲線が、ロッキング曲線の陽電子全反射領域に見いだされた。種々の原子モデルを仮定し、理論計算を行ったところ、Si-H(モノハイドライド)表面上にSiH(トリハイドライド)分子が、付着した表面が、実験を最も良く再現することがわかった。通常、上記の水素終端Si(111)表面は、原子尺度で非常に平坦で、モノハイドライド相が圧倒的に多いと考えられており、実際STMの研究でも、そのことが確かめられていた。これに対し、RHEPDの結果は、SiH分子が、かなり残留することを示唆している。そのほか、理論的に予想されていた一波条件による回折スポットの消失が、実験的に確認された。
河裾 厚男; 岡田 漱平
Physical Review Letters, 81(13), p.2695 - 2698, 1998/09
被引用回数:85 パーセンタイル:91.25(Physics, Multidisciplinary)この論文は、世界初の反射高速陽電子回折の観測について詳述する。20keVの陽電子ビームが水素終端されたシリコン(111)面に対して、[111]及び[112]方位から入射させられた。0次のラウエゾーンとともにスペキュラースポットと回折スポットがはっきりと観測できた。また、シャドーエッジも明瞭に観測できた。回折図形は、比較的高い入射角(3°)のときに出現した。スペキュラースポット強度のロッキング曲線は1次ブラッグピークと陽電子の全反射を明示した。
社本 真一
no journal, ,
中性子非弾性散乱と全反射高速陽電子回折の結果をもとに、バルクおよび単層の鉄セレンの超伝導特性について議論する。
社本 真一; 深谷 有喜
no journal, ,
FeSe結晶のバルクの動的磁化特性を中性子非弾性散乱により調べ、FeSe単層膜の構造は全反射高速陽電子回折により調べた。これらの構造歪の効果を電子構造と比較して議論する。
社本 真一; 深谷 有喜
no journal, ,
FeSeは鉄系超伝導体の中で最も単純な構造の物質である。加えて単一のユニットセルのFeSeで、60K以上の高い転移温度が観測された。引力相互作用が鉄系超伝導体ではまだ議論中であることからFeSeは機構を研究する上で理想的である。ここではこれまでの我々の実験結果について報告する。
社本 真一
no journal, ,
The current nanoscience challenges standard crystallographic analysis based on a space group, which fails to observe the specific disorders in the crystal structures. Here, the atomic pair distribution function analysis and the total-reflection high-energy positron diffraction are introduced.